第63回 ホワイトニングコーディネーター講習会 認定試験 レポート

セミナー事前申請にて法人負担を行った方のセミナー受講レポートです。是非ご確認ください。

2025年年3月9日  コウノ歯科医院所属 歯科衛生士

~歯のホワイトニング 基礎知識編~

・歯の漂白は、歯質を全く切削することなく、薬剤を用いて化学的に色をし改善できる、低侵襲な治療であり、「ブリーチ」とも言う。

・このホワイトニングは過酸化尿素を用いるホームホワイトニング材が1989年に登場。そして過酸化水素と触媒、可視光線を用いるオフィスホワイトニングが1991年に登場。

・米国のドラッグストアには、ホワイトニングを謳ったオーラルケア OTC(Over the Counter)商品が多くある。

~ヒトの歯の色について~

歯の色調は比較的透明なエナメル質を透過して不透明で淡黄色の象牙質が見える事により知覚される。

~歯の変色・着色について~

外因性:

コーヒー、茶、ワイン、タバコ、アマルガムが沈着、歯科材料の金属

内因性:

①遺伝性 (エナメル質形成不全、象牙質形成不全、先天性ポルフィリン症、低フォスファターゼ血症)
②代謝異常疾患 (カルシウム代謝異常、上皮小体機能低下症、先天性梅毒、先天性タンパク血症、過ビリルビン血症はビタミンA,C,O欠乏)
③加齢での黄変 (年齢と共にエナメル質がうすくなり、アパタイト結晶の成熟でエナメル質の透過性が高くなり黄色の象牙質が透けて見える)
④歯の傷害 (歯髄障害、失活で起こる。血液や歯髄組織の変成産物が象牙細管への侵入で生じる。亜ヒ酸の貼薬、外傷、急性歯髄炎、非注水下での高速切削による歯髄内出血は不可逆性の場合は徐々に褐色させていく)
⑤内部吸収:ピンクスポット ( 歯髄側から肉芽組織が増殖し、硬組織を吸収、ピンク班が認められる病変。歯内生肉芽腫とも言う。原因は外傷での出血感染。1歯だけに見られる。 前歯でマージンから歯根部に多く発生。直ちに抜髄。
⑥フッ化物 フッ素症は飲料水中に1ppm以上のフッ素が含まれている地域で頻発。2ppm以上で発症。斑状歯。
⑦テトラサイクリン系薬剤 ・歯の形成期(妊娠初期~幼児期)に服用すると、胎児の歯の発育に障害を与える。

▪️胎児が産まれて太陽光線が当たる事で光化学反応を起こして色調変化する。
▪️前歯小臼歯、左右対称に出現。
▪️ファインマンの変色歯分類では軽度F1~F2ではホワイトニングで白くなる。F3~F4は白くならない。
▪️2歳位まで大量服用繰り返すと上前歯、第1大臼歯が変色しやすい。

~ホワイトニング 適応症と禁忌症について~

① 有髄歯

▪️適応歯 加齢での黄ばみ、軽度のテトラサイクリン歯、軽度のフッ素症
▪️禁忌歯 エナメル質の亀裂、重度のテトラサイクリン歯、形成不全で実質欠損歯

② 無髄歯

▪️適応歯 きちんとRCFされている歯。
▪️禁忌歯 根管充填材の漏出や金属イオンによる着色、残存歯質が少なく補綴物を必要とする場合の歯。根未完成の歯。

③ 全身的要因

・適応歯 永久歯列完成していれば可能。基本的には18歳以上。

▪️禁忌歯 無カタラーゼ症(過酸化水素分解酵素であるカタラーゼを持っていない人) 妊婦、授乳中 → エビデンス無いため。 呼吸器疾患、光線過敏症(オフィスホワイトニングのみ)

~ホワイトニングの種類~

①オフィスホワイトニング …過酸化水素(H₂O₂)35%濃度を使用。
②ホームホワイトニング …過酸化尿素10~16%濃度を使用。唾液に触れることで、約3.6%の過酸化水素と約6.4%の尿素を生じる。
③ウォーキングブリーチ …過酸化水素+過ホウ酸ナトリウムを使用。

~ホワイトニングのメカニズム~

▪️オフィスホワイトニングの薬剤は、かなり濃度が濃いので手や粘膜に付着すると強い痛みがある。付着した場合流水下で良く洗う。ビタミンB軟膏ザーネクリームを塗布。3~6時間で消失する。

▪️過酸化水素35%ははオキシドール2.5~3.5%なので、濃度がとても高い。この過酸化水素は、組織、細菌、血液、膿汁に存在するカタラーゼで分解し、フリーラジカルが発生する。強い酸化力があり、細菌の構成成分に効果がある。酸化力に基づく漂白作用、脱臭作用がある。このフリーラジカルを多く発生させる為に過酸化水素濃度を上げる、温度を上げる、光を当てる、アルカリ性(金属塩=二酸化チタン)を添加する方法がある。


▪️過酸化水素の作用はエナメル質表面に作用させる。ペリクル(獲得被膜)が除去させてしまう。唾液が触れることで再度形成はされる。 しかし過酸化水素35%を使用時ではエナメル質が僅かに粗造になる。それでも酸性飲料やエッチング剤よりは軽微。よってオフィスホワイトニング後は酸性&着色系飲食物、タバコは避ける。

▪️ホワイトニング薬剤はエナメル質を通過し象牙境、象牙質まで質まで浸透し漂白される。
▪️ホームホワイトニングの方が濃度は低いが漂白時間が長く、より深部まで漂白できる。後戻りが少なく自然な白さを得られる。

~ホワイトニングの問題点~

・知覚過敏がある。

・有機質の多いエナメル質や象牙質付近に浸透しやすく、象牙細管に侵入。刺激により知覚過敏が生じる。

・知覚過敏が出た場合は中止、その後フッ化物や硝酸カリウムを塗布。MIペーストも効果的。

・オフィスホワイトニングは24時間で自覚的に白さを実感しやすい。

・ホームホワイトニングは効果が出るまでに1週間~2週間かかる。

・漂白直後は再着色しやすいため、コーヒーやタバコなどの色素食品は避ける必要がある。

~感想~

昨今、ホワイトニングに対して一般人にもジムなどで身近に体感できるようになった。 そして海外製品ではホワイトニングの市販品なども多くある中、その違いをしっかり伝えていく事が必要である。 歯科衛生士として資格を持つ者だけが行える「医療ホワイトニング」の良さや効果をもっと患者に伝えていく事で、患者への満足度と安心感を伝えていきたいと感じた。

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